NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『キャプテンサンダーボルト』阿部和重&伊坂幸太郎


★★★★★(★について - NOVELIFE)


寝なきゃいけないのに。仕事で睡眠時間がかなり削られているっていうのに。なんなんだ。この小説は。全然寝させてくれないじゃないか。などと、考える隙もなく読むのに夢中になった。さすがに仕事に影響が出てはいけないので、我慢して寝たけども。


もう少し余裕のある時だったら、間違いなく上下巻一気読みだったろうな。いやあ、ほんと気持ち良いほど特盛エンターテイメントだった。最高。


ただ一つだけ謝っておきたいのは、阿部和重さんの小説を読んだことがないってことだ。謝ることじゃないけど、ただ、読んどけばよかったなと、後悔した。


この小説は、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの合作小説なんだけど、どの辺が阿部さん的部分なのかがわからなくて。失敗したなと思った時にはもう遅かった。近いうちに読もう。


で。この『キャプテンサンダーボルト』なんだけども、もう魅力の宝庫というかなんというか、全部よかった。登場人物の個性、設定、展開、会話、散りばめられたギミック、分かりやすさ、読みやすさ。とにかく楽しませてくれる要素、それしかないって感じ。


簡単に言うと、世界規模のテロに立ち向かう元少年野球のチームメイトで30歳目前の男2人組の話。映画、漫画ドンと来い。でも、これぞ小説の醍醐味、持ち味ってところも存分にあった。


ああ。もうね、何から書いていいか分からないくらい魅力が沢山あるんだよね。どうしよ。思い出してたらまた読みたくなってきちゃったよ。


読んで書いて読んで書いてってやってると、なんだか感想を書かないうちは、読む、のほうに気持ち良く戻れなくてね。


実際のところ、書きたいより、読みたい、のほうが基本的に勝ってるからなあ。じゃあ無理して書かなくても、って話なんだけど、書きたい気持ちもあるのだよ。困る。


と、勝手な自分の心情を明かしたところで、やっぱり終わりにしよ。ダラダラ書いててもね。時間が勿体無いよ。いつ死ぬかわからんよ。スケールのデカさだよ。世界を救うのは僕だ。


とにかくだね、伊坂幸太郎さん&阿部和重さんの『キャプテンサンダーボルト』という小説が最高だから、読んでみて。ということです。



『パラレル』長嶋有


★★★★☆ (★について - NOVELIFE)


たまたま見てしまったんだけど、今、50mほど離れたところを歩いていたおじさんが、転けた。おじさんは恥ずかしそうだった。見てしまって申し訳ないと思いながらも、こうやってブログに書いてしまっている。


誰かに話したくなるのは何故だろう。少しだけ自己嫌悪を感じるけど、どうせすぐ消える。今日は天気も良いから余計早く消え去るのではないかと思う。


人間は忘れる生き物だって言うけど、確かに、と、こんな時に思う。でも忘れられない事もある。永遠なのか一生なのかわからないけど、消え去ることなく残るもの。


今回読んだ長嶋有さんの『パラレル』の中に、結婚は文化だ、というような台詞があった。


結婚するということ自体が、人間特有の文化かもしれないけど、そうではなく、夫婦が築き上げる、二人にしか分からない文化。他の人たちからしたら、なんだそれ、って感じだろうけど、二人にしてみれば、なくてはならない何か。


僕たち夫婦にも、確かにあるな、と思った。バカみたいだけど、楽しい。二人の文化。まあ、物は言いようってだけのことだけど、結婚は文化ってのが、何となく気に入った言い回しだった。


この小説では、他にも心に引っかかる台詞がたくさん出てきた。長嶋有さんの小説は初めて読んだけど、軽妙で深く、洒脱でダサい、そんなバランス感覚が、とても僕好みだった。


他のも読んでみようと思う。


★について


以前このブログで、読んだ小説に点数をつけるのをやめた、というようなことを書いた。どうも他の小説と比較して点数をつけるというのが、なんだか違うなと思って。微妙な点数の差をつけるのは無理だし、そもそも比べるものでもないかなと。


まあ、細かく判断基準を設ければいいのだろうけど、そんなことしてたら純粋に小説を楽しめなくなっちゃうし。


でも、なんとなく自分の中で整理はしたいなと思ったので、もっと大雑把な感じでいこうと決め、★マークだけでちょっとやってる。

基準

一応基準としては、再読したいかどうか。基本それだけ。細かいところについては↓


  • ★★★★★

確実に今後も保有して、絶対にまた読むよ、ってやつ。何度でも読みたい小説。

  • ★★★★☆

これはまた読むかも。一応所有しておこう。

  • ★★★☆☆

一回読めばいいかな。手放してもOK。読みたい人の手に飛び立たせる。



そして、★2つ以下はなし。そもそもあまり面白くないなあと感じたりすると、最後まで読まないので。一応読了したものだけを紹介、ということで。だったら5段階じゃなくて3段階にすればいいじゃないか、と思うかもしれないけど、なんか★1つってつけづらくてね。笑


ということで、完全に自分の感覚が基準になっちゃうので、好きな作家さんの系統が似ている人には、もしかしたら参考になるかもしれないんだけど、そうでない人は、星★の数は気にせずによろしくね、という感じ。


まあ、とりあえずコレでやっていこうかなと思う。やっているうちに変わっていくかもしれないけども。


何はともあれ、楽しく読書して、楽しくブログを続けていきたい。

『チエちゃんと私』よしもとばなな


★★★★☆ (★について - NOVELIFE)


チエちゃん。と聞いて、どうしても頭に浮かんでしまう。何を隠そう、僕の義理の姉もチエちゃんなのだ。妻の姉で、僕とは同級生。妻は、よしもとばななさんの小説が好きなのだけど、それが理由で、この『チエちゃんと私』は読んでいない。気持ちはよく分かる。笑


でも、この小説の中のチエちゃんは、まるで別人だった。まあ、関係のない人にとってはどうでもいい話か。すみません。でも、だからこそ手に取って読んだわけで。


と言う事で、よしもとばななさんの『チエちゃんと私』


どこか神秘的で、可愛らしい文体。なんだか、いつまでも読んでいたいと思った。物語というよりも、詩のような感じ。どこを切り取ってもいいような。


そして、その場面場面で、家族、仕事、お金、自分と他者、本当に大切なものってなんだろうな、って考えさせられた。


何はともあれ、自分次第なんだ。こんなに沢山の無駄な情報で溢れかえっている世界に惑わされず、自分の感性を大事にしたい。好きなものは好きだ。


この『チエちゃんと私』も、好きだ。


『春、バーニーズで』吉田修一


★★★★☆ (★について - NOVELIFE)


何だかんだと忙しい毎日を過ごしていると、何か大事なことを忘れてるような気がしてしまう。気がするというより、実際に忘れている。何を忘れているのかも忘れている。笑


だから読書の時間というのが必要なのかもしれないな、と思った。思い出させてくれる。


前回に引き続き、吉田修一さんの小説を読んだんだけど、やっぱりこの方は、何気ない日常を描くのがとても上手だと思う。些細な気付き、ほんの小さな感情の動き。


僕の生きている世界なんて、まあちっぽけなもんなんだろうけど、そんな中にも沢山、散りばめられている何かがある。もう少し、周囲や自分の事に敏感に気付くことのできる余裕を持って生きたい。


この『春、バーニーズで』は、前回読んだ『最後の息子』の表題作のその後の様子が描かれている。


なので、『最後の息子』から読んだほうがいいかな。うん。まず、閻魔ちゃんには出会っておいて損はないと思う。あ、『最後の息子』の登場人物ね。素敵なオカマちゃんだから。きっと好きになる。


そして、バーニーズでまた会いましょう。


『最後の息子』吉田修一


★★★★★ (★について - NOVELIFE)


若いって、いいね。なんて思ってしまうのは、やはり歳をとったからなのかな。笑


吉田修一さんの、『最後の息子』という短編集を読んだ。「最後の息子」「破片」「Water」の3編が収録されているんだけど、その中の「Water」のキラキラ爽やか青春感にやられた。


青春小説って、自分のその時代の記憶なんかと重なり、タイムトリップして小説の中に入り込むような感覚になるものと、逆に自分には無かった才能などを持つ主人公を羨ましく見てしまうものとがある気がする。


「Water」は前者だった。ということは、僕にもキラキラ爽やかな時代があったということか。笑


まあ、実際爽やかであったかどうかはさて置き、その時その瞬間には、気付けない感情ってのが多分ある。そしてこれは「今」にも言えること。


そう。この「Water」は、爽やかな青春を描きながら、僕に、今気付くことの大切さを教えてくれたのかもしれない。そういえば物語の中で、バスの運転手のおじちゃんが良い事言ってたな。


てかね。そんな難しいこと抜きに、本当に気持ちの良い小説。よくわかんないけど、やっぱり太陽ってすごいよなって思った。そんくらい眩しい小説。


泣いた。


『パークライフ』吉田修一


★★★★☆ (★について - NOVELIFE)


つい最近、仕事関係で知り合った方が、僕と同じ名前だった。お互いにびっくりして、笑った。一気に近しく感じた。中学の時に同じ学年に一人いたんだけど、それ以来だった。中々出会うことってない。


と思ってたんだけど、また出会った。まあ、今回は小説の中の登場人物だけど。まあ、どうでもいい話だけど、ちょっと嬉しかったってこと。笑


さて。なんか最近はいわゆる大衆小説ばかり読んでいたから、今回読んだものは、久々に文学に触れたなって感じの小説だった。吉田修一さんの『パークライフ』。芥川賞受賞作


久々すぎて、最初はどうも雲を掴むような感じで、フワフワと。やはりその辺は、大衆小説とは違うなと思った。どっちがいいとかじゃなくね。


でも、リハビリにはちょうど良かったな。洒脱な雰囲気はありながら気取り過ぎず、感じ取りやすい文体で、戸惑ったのは最初だけで、後はスッと入り込めた。ダラダラ長くなくて、短いのも良かった。


見ているものと見えているものは違う。同じ場所にいながらも、見えているものは、お互い違う。男と女の違いもあるのかもしれない。その微妙な差が切なかったけど、不思議と温かい気持ちにもなった。