novelife

読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『ムーンパレス』ポールオースター

ポールオースターといえばコレ。という人が結構多い気がする。 ポールオースターの作品の中で、僕が最初に読んだのは『幽霊たち』で、その不思議な世界に戸惑いながらも読了し、他も読んでみようと手に取ったのが、この『ムーンパレス』だったと思う。(少し…

『バルセロナの印象』長嶋有

旅行に行くのは結構好き。でも、行きたいなあと思う場所はたくさんあっても、いわゆる時間とかお金とかいうやつの問題があってなかなか難しい。 まあそうは言っても、家族旅行だとか新婚旅行だとか、それなりに行ってはいるわけで、多少は思い出というものも…

『猛スピードで母は』長嶋有

方言、というものがある。僕の住む岩手県にも、勿論それはあって、周囲の人たちは当然のように、いわゆる「標準語」ではない表現を使う。 まあ、標準なんていうのは誰かが勝手に決めたものであって、そうでない言葉を話す僕らにとっての標準は、「方言」のほ…

『眠れる美女』川端康成

仕事中にふと窓の外を見たら、目の前の公園のベンチに、お爺ちゃんとお婆ちゃんが座っていた。二人がけのベンチが二つ、それぞれに座っていて、その夫婦の微妙な距離感がなんとも微笑ましかった。 と、二人が夫婦だと勝手に決めつけたけれど、もしかしたらた…

『かけら』青山七恵

いきなりだけれど、僕にもいとこがいる。最近会ったのはいつだったか。何年かに一度、というくらいの頻度でしか会うことがないので、その度いとこの変化に驚き、何を話していいのか分からず、うろたえる。 そして、また数年間会うことがなく、次会うときもき…

『オテルモル』栗田有起

夢をよく見る人とそうでない人がいるけれども、どう違うのだろうか。僕はあまり見ない。妻はよく見るようで、起きがけに、見た夢の話をすることも少なくない。 あまり見ない僕からすると、何でそこまで覚えているんだろう、ってちょっと訝しんだりもする。結…

『ハミザベス』栗田有起

知らなかったです。栗田有起さん。で。先日古本屋さんで、面白いタイトルだなと思って何気なく手に取った小説が『ハミザベス』だったわけでして。読んでみたら、これがまたすごく良かった。気付いたら読み終わってる、っていうような勢いのある小説で、溢れ…

『佐渡の三人』長嶋有

身内の死というのは、とても悲しい。そして、この「悲しい」という感情を描いた物語というものは、世の中に沢山ある。ちょっとあり過ぎなくらい。今回読んだ長嶋有さんの『佐渡の三人』という小説も、身内の死を取り扱ってはいるけれども、その「悲しい」と…

『問いのない答え』長嶋有

★★★★☆ 何でこんなの書けるんだろね。やっぱ長嶋有さんは天才だ。いや、さすがにそれは言い過ぎか。そう。そうなんだよ。この「過ぎた」が良くないということなんだよね。そして、「過ぎない」小説を書けるのが、長嶋有さんなんじゃないか、と思う。 きっと、…

『雪沼とその周辺』堀江敏幸

★★★★★ とても良かった。堀江敏幸さんの短編集、『雪沼とその周辺』。川端賞、谷崎賞受賞作。 この小説には7つの短編が収められている。それぞれ独立した話だけども、タイトルからもわかる通り、全ての短編の舞台が「雪沼」という地とその周辺で、登場人物だ…

『ミステリアスセッティング』阿部和重

★★★★★ 以前に、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの共作『キャプテンサンダーボルト』を読んで、かなり面白かったとブログに書いた。 その時点では、阿部和重さんの小説は読んだことがなかったので、早速本屋でデビュー作の『アメリカの夜』を見つけて購入し、読…

『ランドマーク』吉田修一

★★★★☆ 久々に吉田修一さんの小説を。この『ランドマーク』は建設業界で働く人たちとその周辺の話。自分が働く業界の話というのもあって、とても想像しやすかった。まあ、そもそも、吉田さんの表現力が素晴らしいのだろうけど。 この小説を読んでいて考えたの…

『タマリンドの木』池澤夏樹

★★★☆☆ 池澤夏樹さんの小説は、初めて読んだ。芥川賞をとった『スティルライフ』が有名なところかと思うんだけど、たまたま見つけたこの『タマリンドの木』をパラパラ立ち読みしてたら、僕の住む街、岩手県盛岡の文字が。おっ、と思ってそのままレジへ。動機…

『去年の冬、きみと別れ』中村文則

まとめ お風呂で軽く、なんて思ったら、結局最後まで一気に(まあ、途中からだけども)読んでしまった。終盤はかなり引き込まれた。そしてのぼせた。 この小説『去年の冬、きみと別れ』は、2018年3月に映画化されるらしい。って今月か。 どんな風になるのか気…

『夕子ちゃんの近道』長嶋有

これは出会ってしまったなあ。という感じ。最高の小説に。 あらすじ 特殊な文体 「僕」の名前は 最高の小説 まとめ 第一回大江健三郎賞受賞作 あらすじ 「フラココ屋」というアンティークショップに住み込みで働いている「僕」の日常。そして「僕」の周囲を…

繊細な感性と静謐な物語。『羊と鋼の森』宮下奈都

☆☆☆☆☆ 良い小説に出会った。好きです。 あらすじ 調律師という仕事 生きているということは、それだけでその人の個性なんだよな、と思う。自分には何もないと諦めてしまいがちだけど、気付いていないだけで本当はすでにある。 オリジナルという言葉を簡単に…

【感想】『オリンピックの身代金』奥田英朗

あらすじ さすがの精密描写 あの終わり方 吉川英治文学賞受賞作 これは、かなり読みごたえがあった。 あらすじ 昭和39年東京。オリンピック開催を間近に控え、日本中が浮つく。そんな中、1人の静かなテロリストがダイナマイトを手に、オリンピックを人質に身…

『ウランバーナの森』奥田英朗

ジョン ≠ ジョンレノン ≒ ジョン 優しい気持ちになれる物語 この小説は、出来ることならお盆の時期に軽井沢で読みたい。とは言え、お盆は実家のお墓詣りもあるし無理だろう。お盆は諦めるとしても、いつでもいいから、軽井沢で読みたい。 一度しか行ったこと…

『武士道シックスティーン』誉田哲也

昼休みの過ごし方 誉田哲也さんと言えば 剣道に触れる機会ってなかなかない。特に興味を持っていたわけではないけど、誉田哲也さんの『武士道シックスティーン』という小説を読んで、剣道をやってみたくなった。やらないけど。でも、カッコいいなと思ったし…

『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ

みないい子達 構成 スポーツは観るのもやるのも好き。基本的に走るのも好きなんだけど、マラソンだったり駅伝のように、ひたすら長距離を走るのは苦手。持久力がないので仕方ない。だから単純に、長い距離を走れる人は無条件で尊敬してしまう。尊敬というか…

『パイロットフィッシュ』大崎善生

記憶と行動原理 村上さんより大崎さん パイロットフィッシュっていうのは、熱帯魚などを飼育する際に、最初に入れて水槽の中の環境を整えてくれる魚のことらしい。犠牲になってくれるんだね。『パイロットフィッシュ』を読んでいて、熱帯魚を飼ってみたいな…

『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎

★★★★★(★について - NOVELIFE) 熱量がすごい。デビュー作には作家さんの全てがある、と言われるけど、まさにという感じだった。伊坂幸太郎さんの、書きたいという欲がぐわぐわと押し寄せてくるような感じ。 だからと言うわけではないけど、これから伊坂さんの…

『砂漠』伊坂幸太郎

★★★★☆(★について - NOVELIFE) 正月休みで食べ過ぎて身体が重い。ぼちぼち仕事始めてるけど、まだまだ本調子とは言えない感じ。まあ、徐々に戻るだろうけども。 で、そんなダラダラな正月休みの間に読んでいたのが、伊坂幸太郎さんの、『砂漠』。新年最初だか…

初詣のお願い

書きたいことを書いて、それが売れるってのはすごい。理想だと思う。自分を表現して、それを受け入れてもらえるというのは嬉しい。そういう承認欲求みたいのは、やっぱりある。 そこは嘘をつきたくないところではあるんだけど、さじ加減が難しい。こうやって…

『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

★★★★☆(★について - NOVELIFE) 今年も、もうすぐ終わるねえ。時間を飛び越えたような不思議な感覚になるあの日がやってくる。師走か。走るのは師匠だけにしてほしい。むしろ走り回っているのは弟子ばかりの気もする。そうして僕は走りながら、今こうやってブ…

『サイドカーに犬』長嶋有

★★★★☆(★について - NOVELIFE) 女性の涙ってやつに弱い。戸惑う。急に階段を駆け上ったその人を、ぽかんと下から見上げるような気持ちになる。バカ丸出しだ。ほんと、女性のほうが一歩も二歩も先を進む。数年後、あの時のあの言葉はこういうことか、とやっと…

『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎

★★★★☆(★について - NOVELIFE) 長編だと思って読み始めたら、短編集だった。いくつかの雑誌のために書いた短編をまとめたものみたい。だから、連作短編集というわけではなく、一応ひとつひとつが独立したお話。 だけど、少しづつ繋がりを持たせてあって、不思…

『キャプテンサンダーボルト』阿部和重&伊坂幸太郎

★★★★★(★について - NOVELIFE) 寝なきゃいけないのに。仕事で睡眠時間がかなり削られているっていうのに。なんなんだ。この小説は。全然寝させてくれないじゃないか。などと、考える隙もなく読むのに夢中になった。さすがに仕事に影響が出てはいけないので、…

『パラレル』長嶋有

★★★★☆ (★について - NOVELIFE) たまたま見てしまったんだけど、今、50mほど離れたところを歩いていたおじさんが、転けた。おじさんは恥ずかしそうだった。見てしまって申し訳ないと思いながらも、こうやってブログに書いてしまっている。 誰かに話したくなる…

★について

基準 以前このブログで、読んだ小説に点数をつけるのをやめた、というようなことを書いた。どうも他の小説と比較して点数をつけるというのが、なんだか違うなと思って。微妙な点数の差をつけるのは無理だし、そもそも比べるものでもないかなと。 まあ、細か…