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読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『1984年』ジョージ・オーウェル

なかなか仕事が忙しく、ゆっくり小説を読む時間がなかったんだけど、毎日チビチビと10数ページずつ読んで、読了。 ジョージ・オーウェルの『1984年』。 出張先なので、コインランドリーで洗濯しつつ待ち時間にブログ書く。 しかし、3週間くらいかけて読んだ…

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ

この小説を、彼らに燃やされてしまう前に読むべし。 本を所持しているのがバレると、昇火士に燃やされてしまう。「焚書(ふんしょ)」というやつ。どういう本、ということではなく、全ての本。 読書が好きな人たちにしてみたら、地獄のような世界。この『華氏4…

『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア

戦争では簡単に人が死ぬ。そういうものだ。 そういうものだ、なんていう言葉で片付けられることではないんだけども、実際に戦争を体験し、見てきたヴォネガットにそう言われたら、正直何も言えん。残念だけども、想像力は体験を超えることはできないのだ。 …

『私の恋人』上田岳弘

あなた方人類は、うだうだ言わず黙ってこの小説を読むべし。 とか言って、紛れもなく僕も人類であって、そうである以上、人類の歴史は知っておく必要があるのかもしれない。まあ、知らなくても生きていけるけども、知っておけばもう少し真っ当な生き方ができ…

『ぼくは落ち着きがない』長嶋有

これぞ「純文学」と言いたい。 まあ、文学とはなんぞやなんてのは、よくわかってはいないし、そもそも区別する必要もないのかもしれないけども。 でも、僕の頭の中では(他の人にとってはどうかは知らない)これこそが「純文学」であると認識された。というか…

『クエーサーと13番目の柱』阿部和重

特に意味はないのだけど、近頃は阿部和重さんと川上未映子さん夫婦の小説ばかり読んでいる。どちらの小説も好きだ。 二人とも、既成の概念だったり、世界で起こっている出来事を、とにかく疑う、というところが根底にあって、そこらへんが共通している気がす…

『あこがれ』川上未映子

小学生って、なんだかくだらないんだけど面白いあだ名をつけるのが上手。ヘガティーって、そのまんまなんだけど、絶妙なセンス。 ヘガティーっていうのは、川上未映子さんの小説『あこがれ』の中の主人公の一人。まあ、つまり考えたのは川上さんなんだけども…

『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子

川上未映子さんの小説って、いつも賛否両論が激しい気がする。僕は好きなんだけども、嫌いだという人も結構多い。 でも、そもそも賛否両論が激しいということは、それだけ読む価値があるという証拠だし、皆んなが良いという小説など、この世界にはそれほど必…

『トライアングルズ』阿部和重

阿部和重さんの短編集『無情の世界』に収録。狂気と正気って紙一重だと思うんだけども、そのギリギリのところには、ある意味で滑稽さも漂うのだな、というような事をこの小説を読んで考えた。 阿部和重さんの短編『トライアングルズ』には、まさにその狂気と…

『幻影の書』ポールオースター

『幻影の書』の主人公ジンマーは、絶望の中、ヘクター・マンという喜劇俳優の短編映画に偶然(偶然というのが大事な要素ね)出会う。そして生きていく目的を見いだす。 僕は特に人生に絶望するほどの体験はしたことがないけれども(記憶から消してしまっただけ…

『ムーンパレス』ポールオースター

ポールオースターといえばコレ。という人が結構多い気がする。 ポールオースターの作品の中で、僕が最初に読んだのは『幽霊たち』で、その不思議な世界に戸惑いながらも読了し、他も読んでみようと手に取ったのが、この『ムーンパレス』だったと思う。(少し…

『バルセロナの印象』長嶋有

旅行に行くのは結構好き。でも、行きたいなあと思う場所はたくさんあっても、いわゆる時間とかお金とかいうやつの問題があってなかなか難しい。 まあそうは言っても、家族旅行だとか新婚旅行だとか、それなりに行ってはいるわけで、多少は思い出というものも…

『猛スピードで母は』長嶋有

方言、というものがある。僕の住む岩手県にも、勿論それはあって、周囲の人たちは当然のように、いわゆる「標準語」ではない表現を使う。 まあ、標準なんていうのは誰かが勝手に決めたものであって、そうでない言葉を話す僕らにとっての標準は、「方言」のほ…

『眠れる美女』川端康成

仕事中にふと窓の外を見たら、目の前の公園のベンチに、お爺ちゃんとお婆ちゃんが座っていた。二人がけのベンチが二つ、それぞれに座っていて、その夫婦の微妙な距離感がなんとも微笑ましかった。 と、二人が夫婦だと勝手に決めつけたけれど、もしかしたらた…

『かけら』青山七恵

いきなりだけれど、僕にもいとこがいる。最近会ったのはいつだったか。何年かに一度、というくらいの頻度でしか会うことがないので、その度いとこの変化に驚き、何を話していいのか分からず、うろたえる。 そして、また数年間会うことがなく、次会うときもき…

『オテルモル』栗田有起

夢をよく見る人とそうでない人がいるけれども、どう違うのだろうか。僕はあまり見ない。妻はよく見るようで、起きがけに、見た夢の話をすることも少なくない。 あまり見ない僕からすると、何でそこまで覚えているんだろう、ってちょっと訝しんだりもする。結…

『ハミザベス』栗田有起

知らなかったです。栗田有起さん。で。先日古本屋さんで、面白いタイトルだなと思って何気なく手に取った小説が『ハミザベス』だったわけでして。読んでみたら、これがまたすごく良かった。気付いたら読み終わってる、っていうような勢いのある小説で、溢れ…

『佐渡の三人』長嶋有

身内の死というのは、とても悲しい。そして、この「悲しい」という感情を描いた物語というものは、世の中に沢山ある。ちょっとあり過ぎなくらい。今回読んだ長嶋有さんの『佐渡の三人』という小説も、身内の死を取り扱ってはいるけれども、その「悲しい」と…

『問いのない答え』長嶋有

★★★★☆ 何でこんなの書けるんだろね。やっぱ長嶋有さんは天才だ。いや、さすがにそれは言い過ぎか。そう。そうなんだよ。この「過ぎた」が良くないということなんだよね。そして、「過ぎない」小説を書けるのが、長嶋有さんなんじゃないか、と思う。 きっと、…

『雪沼とその周辺』堀江敏幸

★★★★★ とても良かった。堀江敏幸さんの短編集、『雪沼とその周辺』。川端賞、谷崎賞受賞作。 この小説には7つの短編が収められている。それぞれ独立した話だけども、タイトルからもわかる通り、全ての短編の舞台が「雪沼」という地とその周辺で、登場人物だ…

『ミステリアスセッティング』阿部和重

★★★★★ 以前に、阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの共作『キャプテンサンダーボルト』を読んで、かなり面白かったとブログに書いた。 その時点では、阿部和重さんの小説は読んだことがなかったので、早速本屋でデビュー作の『アメリカの夜』を見つけて購入し、読…

『ランドマーク』吉田修一

★★★★☆ 久々に吉田修一さんの小説を。この『ランドマーク』は建設業界で働く人たちとその周辺の話。自分が働く業界の話というのもあって、とても想像しやすかった。まあ、そもそも、吉田さんの表現力が素晴らしいのだろうけど。 この小説を読んでいて考えたの…

『タマリンドの木』池澤夏樹

★★★☆☆ 池澤夏樹さんの小説は、初めて読んだ。芥川賞をとった『スティルライフ』が有名なところかと思うんだけど、たまたま見つけたこの『タマリンドの木』をパラパラ立ち読みしてたら、僕の住む街、岩手県盛岡の文字が。おっ、と思ってそのままレジへ。動機…

『去年の冬、きみと別れ』中村文則

まとめ お風呂で軽く、なんて思ったら、結局最後まで一気に(まあ、途中からだけども)読んでしまった。終盤はかなり引き込まれた。そしてのぼせた。 この小説『去年の冬、きみと別れ』は、2018年3月に映画化されるらしい。って今月か。 どんな風になるのか気…

『夕子ちゃんの近道』長嶋有

これは出会ってしまったなあ。という感じ。最高の小説に。 あらすじ 特殊な文体 「僕」の名前は 最高の小説 まとめ 第一回大江健三郎賞受賞作 あらすじ 「フラココ屋」というアンティークショップに住み込みで働いている「僕」の日常。そして「僕」の周囲を…

繊細な感性と静謐な物語。『羊と鋼の森』宮下奈都

☆☆☆☆☆ 良い小説に出会った。好きです。 あらすじ 調律師という仕事 生きているということは、それだけでその人の個性なんだよな、と思う。自分には何もないと諦めてしまいがちだけど、気付いていないだけで本当はすでにある。 オリジナルという言葉を簡単に…

【感想】『オリンピックの身代金』奥田英朗

あらすじ さすがの精密描写 あの終わり方 吉川英治文学賞受賞作 これは、かなり読みごたえがあった。 あらすじ 昭和39年東京。オリンピック開催を間近に控え、日本中が浮つく。そんな中、1人の静かなテロリストがダイナマイトを手に、オリンピックを人質に身…

『ウランバーナの森』奥田英朗

ジョン ≠ ジョンレノン ≒ ジョン 優しい気持ちになれる物語 この小説は、出来ることならお盆の時期に軽井沢で読みたい。とは言え、お盆は実家のお墓詣りもあるし無理だろう。お盆は諦めるとしても、いつでもいいから、軽井沢で読みたい。 一度しか行ったこと…

『武士道シックスティーン』誉田哲也

昼休みの過ごし方 誉田哲也さんと言えば 剣道に触れる機会ってなかなかない。特に興味を持っていたわけではないけど、誉田哲也さんの『武士道シックスティーン』という小説を読んで、剣道をやってみたくなった。やらないけど。でも、カッコいいなと思ったし…

『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ

みないい子達 構成 スポーツは観るのもやるのも好き。基本的に走るのも好きなんだけど、マラソンだったり駅伝のように、ひたすら長距離を走るのは苦手。持久力がないので仕方ない。だから単純に、長い距離を走れる人は無条件で尊敬してしまう。尊敬というか…