NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『空中ブランコ』奥田英朗


★★★★☆ (★について - NOVELIFE)


やっとこさ、仕事のほうも落ち着いて、気持ちにも余裕が出てきた。ここのところ、あまり本も読む時間を取れてなかったけど、仕事の休憩時間などに、ちびちびと読んでた短編が、奥田英朗さんの『空中ブランコ』。


前作の『イン・ザ・プール』と同様、やはり、読んだら気持ちが軽くなった。そして、何となく仕事も頑張れた。気がする。主人公の精神科医、伊良部氏に感謝。


何だかね。ちょっとしたことなんだよね。何かが狂い始めるきっかけって。しかも気付かないうちに蝕まれる。で、どうしたらいいか分からず、ますます深みにハマる。水面は遥か上方。


自分独りでは、解決出来ないことってやっぱりある。他人に頼ることも必要。他人の思わぬ言葉ひとつで、足に付けられた重しが外され、ふわーっと、水面まで一気に浮き上がれたりする。


この小説の最後の短編『女流作家』の中の言葉。

人間の宝物は言葉だ。


これ。そう、これ。正にこれ。言葉で表現することが出来るという素晴らしさ。そして多分、このような言葉に出会うために本を読んでいるんだろう。それを誰かに話したくてブログを書いているのだろう。


良い言葉に出会ったら、使っていきたいと思う。ブログだけじゃなくて、生身の人間にも。大切な人に伝えたい。なんて、カッコつけてみた。


あ、因みに直木賞受賞作。



感想

相変わらず伊良部先生はぶっ飛んでいた。助手のマユミちゃんの冷め具合もなんら変わりない。と、思いきや最後。グッときた。周りに流されず、良いものはいいのだ。


あと、『女流作家』という短編を読んで、奥田英朗さんの小説に対する考え方が良く分かったような気がする。


やはりこの方は、物語よりも人を描くことに重きを置いているのかなと思った。物語は其処にある、という感じ。勝手に生まれるというか。勿論、構成は練っているのだとは思うけど。


前にも書いたけど、奥田英朗さんは、人間を描くのが、とても上手だなと感じる作家さんの一人だ。