NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『サイドカーに犬』長嶋有


★★★★☆(★について - NOVELIFE)


女性の涙ってやつに弱い。戸惑う。急に階段を駆け上ったその人を、ぽかんと下から見上げるような気持ちになる。バカ丸出しだ。ほんと、女性のほうが一歩も二歩も先を進む。数年後、あの時のあの言葉はこういうことか、とやっと気づく。そのたび尊敬する。


まあ、涙といっても色々あると思う。今回長嶋有さんの『サイドカーに犬』という短編を読んだのだけど、その中で、登場人物のある女性が涙を流す場面があった。淡々と落ち着いた文体で、ずっと低空飛行で物語が進むのだけど、その、涙を流した瞬間に一瞬ふわっと浮き上がるのを感じた。そして読み終わって、やはり印象に残っているのはそこだった。


男性作家さんが、あれほど上手く女性の涙を描けるってすごいと思った。戸惑ったもんな。僕が単純なだけかもしれないけど。笑


にしても、長嶋有さんの小説の落ち着き具合がとても心地良い。ちょっと物足りないな、なんて思いもするんだけども、何故か読むのを止められない。不思議。


一緒に収められている『猛スピードで母は』はそのうち。こっちが表題作だけども。


なんにしろあれだね。女性の涙には気をつけろ、ってことだね。いろんな意味で。