NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ


スポーツは観るのもやるのも好き。基本的に走るのも好きなんだけど、マラソンだったり駅伝のように、ひたすら長距離を走るのは苦手。持久力がないので仕方ない。だから単純に、長い距離を走れる人は無条件で尊敬してしまう。尊敬というか、羨ましいという感じ。


加えてというかなんというか、僕は団体競技も苦手で、この『あと少し、もう少し』で描かれている駅伝のように、みんなで襷(たすき)を繋いで、一つのゴールを目指すというようなことが得意ではない。そんな僕とは違って、桝井も設楽も大田も渡部も俊介もジローも、みんな素晴らしい。おじさんは感動した。

みないい子達

なかなか素直になれず、真逆の行動をとってみたり、気取ってみたり、わざとおどけてみたり。とても愛くるしい登場人物たち。でも、それぞれがお互いの本質的なところを見つめることの出来る男の子たちで、それが見えない絆になり、駅伝の襷(たすき)で繋がれていく。もう、いちいちウルっとさせられた。


自分が中学生だった頃を思い出してみたけど、もっと自己中心的で、目立つことしか考えていなかったような気がする。さっきも書いたように、今も大して変わっておらず、彼らとはえらい違いだ。笑


でも、なんとなく自分もこうだったなあ、なんて重なるところもあって、懐かしくてくすぐったいような気持ちにもなった。

構成

構成が面白くて、1区から6区までのひとりひとりのエピソードやその心情、そして大会当日に自分の区間を走り切るところまでが順番に描かれて、その物語自体が襷を繋いでいくように展開する。


ただ、その構成ゆえか、最後で一気に盛り上がるという流れにはならず、少し物足りない感じではあった。でも、それよりも何よりも、登場人物ひとりひとりの心理描写がとても丁寧で伝わりやすく描かれていて、しっかり感情移入できたし、楽しめた。柔らかい文体で読みやすいし、普段本を読まない人でも、スイスイ読めて、楽しめると思う。


間違いなくおすすめ出来る青春小説。