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読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『佐渡の三人』長嶋有

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身内の死というのは、とても悲しい。そして、この「悲しい」という感情を描いた物語というものは、世の中に沢山ある。ちょっとあり過ぎなくらい。今回読んだ長嶋有さんの『佐渡の三人』という小説も、身内の死を取り扱ってはいるけれども、その「悲しい」という感情については特に描かれていない。


もちろん「悲しい」のだけれども、それだけではない様々な感情がそこにあるのだ、ということを気付かせてくれる(思い出させてくれる)小説だと感じた。そういう、なかなか拾い上げられない微細な部分を描けるのが、やはり長嶋有さんという作家さんなのかなと思う。


人の感情っていうのは、混ざり合うのではなくて、重なり合うものなんだ、っていうような文章が小説内にあった(ような気がする)のだけれども、その様々な感情一つ一つを曖昧なものにせずに、具に拾い上げてさり気なく描く。そういうところがね。いいんだよね。


そして、(これは長嶋さんの小説について書くときはいつも言っているけど)小説に登場する人物たちが、ちょっと変わってて不思議な魅力がある。でも、そもそも人間って、みんなちょっと変わってるんじゃないかと思って。長嶋有さんは、そういう所を見つけて描くのも上手いよね。人間観察力に長けてる。


あとはね、あれ。長嶋有さんの小説は、力を抜いて読むことができるんだよね。読み取ろうとしなくていいというか。それはコッチの(小説家)の仕事だから大丈夫です。というような感じね。


エゴ剥き出しの吐き出し系小説も芸術感(感ね)があっていいけど、こういった引き込み系の小説のほうが自分の体質に合っているのだな、と実感した次第でございます。とか言って、まあ結局その時の気分次第なんだけどね。わはは。


やっぱりね、読書ってのは娯楽ですよ。無理しなさんな。合わない本をね、無理して読まなくていいんですよ。自然に読む時が来るかもしれないし、来ないかもしれないし、分かんないけども。(と、自分に言い聞かす)


と、こういう風にね、括弧書きを色々と使ってみたのだけど、これは長嶋有さんの真似っこ。でもね、とても書きやすい。書きたいように書ける感じがする。ちょっとこれからも使ってみようかな。


ということで、長嶋有さんの『佐渡の三人』、オススメですー。