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読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『ハミザベス』栗田有起


知らなかったです。栗田有起さん。で。先日古本屋さんで、面白いタイトルだなと思って何気なく手に取った小説が『ハミザベス』だったわけでして。読んでみたら、これがまたすごく良かった。気付いたら読み終わってる、っていうような勢いのある小説で、溢れ出てくるまんま言葉を繋いでる感じなんだけど、実はしっかり練られていたり。


文庫の解説で、「読み終わってみると、なにが起きたかわからないけれど、なんだかおもしろかったので、もう一周してみよう、という気になる。」と、いしいしんじさんが書いていた。いやほんとその通り。


『ハミザベス』『豆姉妹』という2つの作品が収録されているのだけれど、僕はどちらかというと、すばる文学賞を受賞した『ハミザベス』よりも『豆姉妹』のほうが好きかも。声に出して笑ってしまったもの。いや、もちろん『ハミザベス』も面白かったんだけども。


この2作どちらも、会話が面白い。テンポよく、短い言葉でポンポンと、不思議なおかしみのある会話が心地よく続く。『ハミザベス』のほうは、最初、あ、なんか暗い話かな、なんて思うんだけども、そのユーモラスな会話でそれを感じさせずに、結局最後はなんだかよくわからないけども、前向きにさせられちゃった、っていう小説。


こういうね、なんだかわからないけども、っていうところがね、いわゆる純文学なんですよ。たぶん。なんていうような適当な言葉も勢いで書いちゃえって気持ち(前向き)になれる小説。


とにかく全然飾ってないんだよね。「栗田さんは、わからないものを、わかったように書かない」と、これまた解説で、いしいしんじさんが書いていたんだけども、その知ったかぶりをしない感じが好印象で、人間の歪な部分を描いてはいるんだけど、もうさ、なんかさ、それでいいよね、って気にさせられるんですよ。


いやー、栗田有起さんの他の小説も読んでみたくなったなー。


ということで、少し調べてみた。これまでに3作ほど、芥川賞にノミネートされたみたいなんだけど、選評では結構キツイこと言われてるのを見ちゃったんだよね。でもなー、うーん、あんまり関係ないかな。多分、面白いだろうなという予感があるもんな。というか、自分に合うだろうなという感じ。


忘れないうちに探してみよっと。


とりあえず、栗田有起さんの『ハミザベス』。なんだかよくわかんなくてもいいから前向きになりたいという人にオススメですー。