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読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『バルセロナの印象』長嶋有

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旅行に行くのは結構好き。でも、行きたいなあと思う場所はたくさんあっても、いわゆる時間とかお金とかいうやつの問題があってなかなか難しい。


まあそうは言っても、家族旅行だとか新婚旅行だとか、それなりに行ってはいるわけで、多少は思い出というものもある。


旅行に行くときは、というか行く前や向かっているときは、例えば、ここの建物が見たいだとか、そこの美術館に行きたいだとか、あそこのあれが食べたいだとか、それなりに目的みたいなものを持っているし、到着して実際にその場面に出くわせば、うわあっと感動もする。


でも、時が過ぎて、その旅行についてふと思い出したりするのは、その建物や風景だとか食べものではなく(それもあるけども)、その時一緒に行った人のさり気ない表情だったり、仕草だったりする。


もちろんその表情や仕草の背景には、旅行に来ているという高揚感やら何やらがあって、それと重なって記憶として強く残っているのだろうけども、その一瞬の場面の中心は、やはり人だという気がする。


あんなに感動したのにね。記憶はちょっとズレて残る。でもそれがいいという気もする。


長嶋有さんの『バルセロナの印象』(タンノイのエジンバラという短編集に収録)という短編を読んでいて、なんとなーくそんな事を考えましたとさ。