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読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

『トライアングルズ』阿部和重

阿部和重さんの短編集『無情の世界』に収録。

狂気と正気って紙一重だと思うんだけども、そのギリギリのところには、ある意味で滑稽さも漂うのだな、というような事をこの小説を読んで考えた。


阿部和重さんの短編『トライアングルズ』には、まさにその狂気と正気の狭間がユーモラスに描かれている。ただ、滑稽なんだけども、呑気に笑ってもいられない。


自分も一歩(というか半歩ほどかも)間違えばという思いもあるし、知る由はないけども、人間の頭の中は狂気で溢れているという気がしないでもない。(基準はあくまで自分だけども笑)


みなギリギリで生きているのだろうな、と勝手に想像する。


そして、この『トライアングルズ』では、観察する者と観察される者、それをまた外から観察する者というような構図もあって、自分も、もしかしたら得体の知れない誰か(もしくは何か)に見られているのかもしれないという恐怖も感じたし、逆に言えば、見られているという意識が、狂気を抑えているのかもしれないとも感じた。


何となく、ポールオースターの『幽霊たち』を思い出した。(なんて、最近再読したから記憶が新しいというだけ)


まあとにかく、なるべく笑って生きられるようにね、狂気はそっと自分の中だけにしまっておきましょう。(と自分に言う)


表題作の『無情の世界』はそのうち。