novelife

読書好きおじさんの小説紹介的雑文集

「文学」というジャンル小説〜『ニッポンの文学』佐々木敦

>


文庫版の小説の巻末には、その小説の解説というものがある。僕の好みの小説の、その解説を書いている人の中に佐々木敦さんの名を何度か見かけた。


文学に限らず、映画や音楽に関しても評論活動を行なっている方で、この『ニッポンの文学』に連なる著書に、『ニッポンの思想』と『ニッポンの音楽』がある。らしい。特に音楽の方は是非読んでみたい。


解説の話に戻るけど、佐々木敦さんによるそれは、僕にはとても読みやすく、得心する部分が多いように感じていた。とまあ、なんとなくそんな記憶が残っていて、今回この『ニッポンの文学』という著書を手にとってみたわけでございます。


僕はそんなに沢山の小説を読んできたわけではないし、読んだ小説の大半は、せいぜいここ30年くらいの間に出版されたものばかりだ。大体自分が生まれた頃、80年代前半より後。


そんな僕でも、なんとなく、「文学」って何だろ?って考えることも無くはない。そういえば以前ブログで、「文学」って何って聞かれたら、それは長嶋有さんの小説だよって答えると書いた記憶がある。でも、それは漠然とした思いで、根拠は説明できない。便宜的にそう決めたとも言える。笑。


でも大半の人はそんなもんなんじゃないかな、とも思う。そもそも解らなくていいとも思う。けど、何らかの解答が欲しい気もする。だから、こういう本を読もうとするんだけども、この『ニッポンの文学』を読んだ結果、解答が得られたかというと、そうはならなかった。というか、この本はそういう本ではない。


プロローグの中の一説を引用する↓

「文学」と呼ばれている小説と、「文学」とはみなされていない小説を、同じ視座のもとに扱うこと。
「文学」と「文学以外」という区別を超えた「日本現代小説史」を提示すること。

これを、本書の野心とする。とある。


「文学」とは何か?という問いの中には、「文学」が「文学以外」とは別物で、高尚で気高いんだぞ、という意味が含まれているような気が、なんとなくする。


でもね、そうじゃないんだよ、と。一緒にして考えようよ、と。いうように「文学史」ではなく、「小説史」というものを、この『ニッポンの文学』で、提示されているというわけですね。きっと。


そこを踏まえると、さっき、「文学」って何?の解答は得られなかった、と書いたけど、解答ではなくて得られた考えかたはある。「文学」というのは、「ミステリー」や「SF」と同様にジャンル小説のひとつである、という考えかた。


もはや「文学」は、カルチャーではなくサブカルだ、ということ。なんか、昔からの小説読みには怒られそうな気もするけど、今はやはりそうなっているんだと思う。昔を知らないくせに言えることじゃないけど。


まあね、「文学」を語るには、当然もっともっと深い歴史を勉強する必要がありますよ。色々な時代や国の小説を沢山読んでさ。大変ですよ。


僕はあまり大変な思いはしたくないので、マイペースに読みたい小説をのんびり読んで楽しみたいなと思います。なんか変なとこに着地した。笑。


つまり、「文学」だとかなんだとかは関係なしに、「小説」を読むのは単純に楽しいということで、この『ニッポンの文学』を読んで、改めてそう思ったし、著者の佐々木敦さんも、本当に小説を読むのが好きなんだな、と感じた。それに、この方の取り上げる小説には僕好みのものが多くて、絶好の指南書にもなってくれた。


僕と同じように、最近ぼちぼち小説を読むよという人には程よい本なんじゃないかと思う。